放っておくと怖い!?子供の溶連菌感染症の治療法と予防方法とは?

この記事でわかること
・溶連菌感染症の症状について
・その感染経路と検査方法、治療方法
・家庭でできる溶連菌対策法

 

「溶連菌感染症」という病気をみなさんはご存知ですか?子供が突然、のどが痛いと言い出したり、熱が出たりした場合多くのパパやママたちはただの風邪だと思うことがほとんどでしょう。そのため発見が遅れがちな病気ですが、もしずっと気付かず放置していると怖い合併症を引き起こす可能性もあるのです。

そこで今回は子供の溶連菌感染症に関する詳しい知識や、その感染経路、治療方法や家庭でできる対策などをご紹介していきます。

1. 溶連菌とは?

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溶連菌とはどのようなものかご存知ですか?
溶連菌とは、正式には「溶連性連鎖球菌」と呼ばれる細菌です。子供に多いのどの病気で、咽頭炎や扁桃炎、小さな紅い発疹を伴う猩紅熱(しょうこうねつ)などを引き起こす可能性があります。

これはヒトからヒトにうつる、感染力の強い病気です。
溶連菌感染症は一年中を通して感染すると言われていますが、その中でも特に、春から初夏、冬季の時季が最も感染が拡大するピークということも分かっています。

■主な症状

最も代表的な症状は、発熱(38〜39°)が続くこととのどの痛みです。しかし、3歳未満の幼児が感染した場合、熱はあまり上がらないことが多いです。また、風邪と違い、鼻水や咳は出ません。

【その他の症状】
・身体や手足に紅い発疹
・イチゴ舌(舌にイチゴのようなブツブツができる)
・頭痛
・腹痛
・リンパの腫れ
・吐き気

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溶連菌感染症には潜伏期間が存在し、これらの症状は感染してからおおよそ2〜5日経ってから出てきます。この症状が全てあるわけではなく、個人で発症するものは異なってきます。発疹が出る子供は全体の約3割程度です。もし発疹が出た場合には、わきの下や太ももの付け根、腕や足に細かく赤い発疹がみられることが多く、ザラザラしています。顔に出ることもありますが、頬や額にでき口周りにはあまり発疹はありません。急性期を過ぎると発疹のあとに皮むけがあるのも特徴です。

■感染経路

・飛沫感染(口や鼻から)
溶連菌感染症にかかっても、咳やくしゃみの症状はありませんが、日常生活の中で出る咳やくしゃみなどから感染します。

・接触感染(皮膚から)
皮膚と皮膚が触れたり、同じタオルを使用することで感染します。

・食品から
溶連菌に汚染された食品やコップやお皿などの食器を介して感染することもあります。

■子供がかかりやすい

実は、溶連菌は身体の中に住んでいる細菌です。のどの奥の方にある、咽頭と部分に滞在しています。溶連菌をもっている子供はたくさんいるので、集団で生活し接触する機会の多い、保育園や幼稚園に通っている子供たちは溶連菌感染症にかかりやすくなるのです。実は、健全な子供のうち15〜30%がのどに溶連菌を保菌していることも分かっています。ですので完全になくすことは難しい細菌なのです。

2. 検査と治療方法

■検査の方法

まずは子供の年齢、熱、のどの腫れ、発疹の程度から診断をします。これらを総合的に判断して、溶連菌に感染している疑いがあるときにはさらに詳しい検査をします。具体的にはのどについた細菌を採取し、検査にかけることで5〜10分程度で溶連菌への感染有無が分かります。

■治療の方法

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✔抗生剤を内服する

熱やのどの痛みをやわらげる薬と抗生剤が出されます。抗生剤に関しては3〜10日間内服します。2〜3日も経てば症状は軽くなりますが、もしここで抗生剤をやめてしまうと再発や合併症を引き起こすリスクが高まるのでここで内服をやめてはいけません。

通常の風邪は、ウイルス感染なので抗生剤を飲む必要はありませんが、この溶連菌感染症は細菌感染なので抗生剤をしっかりと飲む必要があります。薬をきちんと服用すれば、24時間以内にほとんど感染力はなくなっていきますよ。

もし薬を服用して2日以上経っても熱が下がらなかったり、水分すら摂れない状態が続いたり、顔がむくんだり、血尿が出たりした際には再度病院を受診することをおすすめします。

のどの痛みが引くまでは、熱いものや辛いもの、また酸っぱいものは避けるのがベターです。入浴に関しては熱がなければ問題ありませんよ。2〜3日で熱やのどの痛みが治り医師の登校許可証が出れば登園や登校も可能になります。

■放っておくと大変なことに…!

溶連菌感染症を放っておいたり抗生剤の服用を途中でやめてしまったりすると、関節や心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や腎臓の炎症から血尿などを起こす急性糸球体腎炎といった恐ろしい合併症につながることもあるので大変危険です。発症から3〜4週間後におしっこがコーラのように濁ったり、腹痛、頭痛、足のむくみが出たりしたときは急性糸球体腎炎への感染が疑われます。急いで病院を受診しましょう!

これら以外にも、溶連菌が引き起こす病気はさまざまなものがあります。以下にその病気を紹介します。

【溶連菌の起こす病気】
・粘膜系
咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱、中耳炎、副鼻腔炎など

・皮膚、軟部組織系
伝染性膿痂疹、丹毒、蜂窩織炎など

・その他
肺炎、トキシックショック症候群、菌血症など

3.家庭で気を付けること

たとえ治療が完治しても、溶連菌にはいくつか種類があるため、繰り返しかかることもあります。一年以内に溶連菌感染症を再発する子どもも少なくありません。そして、子供に多い病気とはいえ大人が溶連菌感染症にかかることもあります。咳やくしゃみなどによる飛沫感染や溶連菌に汚染された食品を介して感染するので子供がかかった場合には家族へ感染が拡大する可能性も大いにあります。

■丁寧な手洗いうがいの方法

【手洗い】

①時計や指輪などの装飾品は外し、水で根を流す。
②手の平に石けんをつけ泡立てる。
③手の平、手の甲、指の間をしっかり泡立てながら洗う。
④親指は反対の手でグリグリとねじるようにして洗う。
⑤手の平で爪を立てるようにして洗う。
⑥手首を反対の手でぎゅっと握って、ねじるようにして洗う。
⑦水でしっかり石けんを洗い流す。
⑧最後に清潔なタオルで水気を十分に拭き取る。
⑨完成!

【うがい】

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①水を口にふくむ。
②「ブクブク」と口の中をゆすいでから、水を吐き出す。
③もう一度水を口にふくみ、斜め上を向きながら「ガラガラ」とのどの奥でうがいをしてから、水を吐き出す。
④もう一度、③を行う。
⑤完成!

■感染を予防するには

残念ながら、予防のためのワクチンはまだ存在していません。ですので、溶連菌感染症の予防には手洗い、うがい、マスクの着用などが最も効果的です。

また、家族内で感染が確認された場合、兄弟がいる家庭では抗生物質を先に飲ませておくという方法もあります。

4.まとめ

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子供に多い溶連菌感染症はふつうの風邪と判断がつきにくいですが、咳がないのにのどの痛みを訴えたり、発熱が何日も続いたり、扁桃腺やリンパ節が腫れたりした場合には感染の可能性が高いです。

自然治癒もありえますが、身近な人たちへの二次感染や合併症のリスクを考えると、早期に病院へ行き抗生剤の服用をしっかり行いたい病気ですね。この抗生剤の服用期間が約10日間ほどと、子供にとっては長い期間を要するので大変かもしれませんが、完治のためにはしっかりと薬を飲み切ることが大切です。

溶連菌感染症の予防には、家族内でタオルやコップなど唾液が付着するものの共有は避けることが効果的です。また、外出から帰って来た際には、今回の記事で紹介した正しい手洗い、うがいを行うことを心掛けましょう。

ライター:木村