『子供の口内炎、甘く見てない?』見過ごすと大変な事に!?種類や治療法

この記事でわかること
1. 口内炎が出来る原因
2. 口内炎の種類と特徴
3. 口内炎の治療法

子供が「口の中が痛い!」と訴えてきたらどのように対処しますか?口内炎だからといってそのまま放って様子を見る方もいるのでは?口内炎には出来る原因から種類、特徴があり中には高熱が出るものも!お子様の健康の為に口内炎について参考にしてみて下さい。

1. 子供の口内炎の原因

口内炎とは口の中の粘膜に起きる炎症のことを主に口内炎と言います。その症状や原因は様々あります。

■傷からできる場合

ぶつかったりした際に歯で口の中を傷つけた時にできる口内炎があります。特徴は傷が
ついた部分だけ白い口内炎ができます。一週間程度で自然に治ります。

■免疫トラブルやストレスの影響の場合

精神的ストレスやビタミン不足などの栄養の偏りや、風邪やインフルエンザなどの病気のあと、睡眠不足などで免疫力が低下したときにできる口内炎です。口の中に表面が白く、まわりが赤く真ん中がくぼんでいる口内炎が、1個もしくは複数個できます。一週間程度で自然に治りますが再発することが多いです。

■ウィルス感染から起きる場合

ウィルス性口内炎は多くは子供がかかりやすい病気で、理由としては子供の免疫力が弱いことにあります。傷からできる口内炎や免疫トラブルやストレスなどからできる口内炎と比べると、症状は重く、口内炎がたくさんできて、のどの痛みを感じたり、高熱が出たりします。

■カビの一種で起こる場合

カンジタ菌という菌(カビ)が原因で起こる口内炎です。カンジタ菌という菌(カビ)は真菌(カビ)といって、通常私たちの身体にいる菌です。免疫力が低下した際にカンジタ菌が増殖し、口内炎ができます。口の中に白い斑点ができます。

■その他

食べ物や薬物や金属などが刺激となってアレルギー反応を引き起こす口内炎や、虫歯などで口の中の環境を不衛生にしていたり、熱いお湯などで口の中を火傷したりすることが原因で起こる口内炎もあります。また、私たち大人にも言えることですが、口内炎が非常に出やすい体質の子供もいるそうです。

2. 子供の口内炎の種類と特徴

子供に口内炎ができて、なかなか症状が良くならなかったら、何か病気にかかっている可能性がありますので注意が必要です。一般的な口内炎の他に、口内炎ができる子どもの病気にはどのようなものがあるのでしょうか?口内炎ができる子どものかかりやすい病気をご紹介します。

■アフタ性口内炎

アフタ性口内炎とは、灰色から黄白色のような色の小さい円形(3〜5㎜程度が多い)をしています。もっとも一般的な口内炎ですが、アフタ性口内炎よりも大きく深い症状であれば、潰瘍(かいよう)と呼びます。潰瘍は治っても痕が残りやすいですが、アフタ性口内炎は痕が残らないのが特徴です。
口の中を噛んだりして傷ができ、そこから感染して炎症を起こすことが多いですが、風邪やインフルエンザなどの病気にかかったあと、睡眠不足や栄養不足などで免疫力が低下したときや、精神的なストレスの負荷やビタミン不足などの栄養が偏ったことが原因で起こる場合もあります。

《 主な症状》
・口の中が痛む(食べ物がしみる、物が当たると痛むなど)
・痛みによる食事の摂取が困難になる
・よだれの増加(言葉で上手に伝えることができない乳幼児から幼児は、食事の量やよだ
れの量が観察のポイントになります)

■ウイルス性口内炎

子供の口内炎の原因で上記した通り、ウィルス性の口内炎は免疫力の弱い子供がかかりやすい病気です。そして、またウィルス性の口内炎にはいくつか種類があります。

ヘルペス性口内炎:単純ヘルペスウィルス1型の感染が原因で起こる口内炎です。

生後6ヶ月〜3歳の乳幼児に多く発症しやすい病気です。飛沫または接触感染でうつる
ことがありますが、感染しても症状のでない不顕性感染が多いとされています。約90%
単純ヘルペスウィルスは身体のどこでも感染しており、部位別にヘルペス性歯肉口内
炎、口唇ヘルペス、顔面ヘルペス、角膜ヘルペスなどがあり、新生児がかかった場合は新生児ヘルペスと呼ばれます。

《主な症状》
急に38〜40度前後の高熱が出て、のどの痛みや口の中や唇のまわりに水泡や潰症ができて、激しい痛みを伴います。また、歯茎が赤く腫れたり、出血することもあります。
食事や水分が取りにくくなります。痛みは一週間から10日ほどでおさまることが多いですが、一度感染すると生涯神経の節々に潜み続けるので、身体の抵抗力が低下したり、風邪などの体調の変化によってウィルスが活性化され、再発する恐れがあります。

ヘルパンギーナ:主にコクサッキーウィルスA群による感染が原因で起こる病気ですが、コクサッキーウィルスB群やエコーウィルスで発症する場合もあります。乳幼児や子供に多くかかる病気で6月下旬〜8月中にかけて流行り、 通称「夏かぜ」とも呼ばれています。

《主な症状》
突然38度〜40度の高熱が1〜4日ほど続き、全身の倦怠感、食欲不振、のどの痛み、吐き気、四肢痛などです。また、発熱中に熱性けいれんを起こしたり、合併症として髄膜炎や
心筋炎を起こす可能性があります。上顎からのどの周辺にかけて赤く腫れ、小さな水疱がいくつもできます。

水疱が破れるとのどの痛みが強くなるため、授乳中のお子さんは母乳やミルクが飲みにくく不機嫌になることがあります。年齢的に1歳〜5歳の子供がかかりやすく、その中でも1歳の子の感染が最も多い病気です。なので感染者の90%が5歳以下の子供で占めています。熱は2日〜4日ほどで下がり、その後に水疱は約一週間程度で落ちつく場合がほとんどです。

手足口病:名前の示す通り、口の中の粘膜から手足などに水疱性の発疹が現れる病気で、コクサッキーウィルス、エンテロウィルスな
どが原因で起こる感染症です。手足口病は夏に流行し、約生後6ヶ月〜5歳ぐらいまでの幼児を中心にかかりやすく、特に男の子に多い傾向がみられます。

《主な症状》
口の中の粘膜から手掌、足底や足背などの四肢末端に2〜3㎜の水疱が発疹します。時に
肘や膝、臀部などにも発疹することがあります。
発熱は約1/3程度見られますが軽度で、38度以下のことがほとんどです。
発疹には痛みがありますが、かゆみが伴うことは稀です。水疱は3〜7日程度で落ち着き
ます。

■カタル性口内炎

カタル性口内炎は、主に口の中のケガや傷、刺激、口の中の衛生環境の悪化などが引き金の原因となって起こる口内炎です。栄養不足や免疫力の低下など、アフタ性口内炎と基本は似ていますが、症状が異なるのが特徴です。

《主な症状》
アフタ性口内炎の場合は灰色や黄白色の円形の炎症が起きますが、カタル性口内炎の場合は、口の中が赤く腫れたり、水疱ができたりします。
痛みはアフタ性口内炎と比べるとやや弱く、強い痛みは伴いませんが、熱いものや酸っぱいもの、辛いものなどの刺激の強い食べ物が患部に触れると、しみたり痛みを感じたりすることがあります。
また、炎症が強くなると口臭が気になることがあります。

■カンジタ性口内炎

カンジタ性口内炎は、カビの一種である真菌による感染症で、大人から乳幼児にもかかる病気です。口の中や消化管、皮膚などに決まった場所に集中して症状が現れるのが特徴です。
カンジタ症は口の中に生息するカンジタ菌(主にカンジダ・アルビカンスという菌)が、過剰に増殖し形態変化することによって発症します。
この菌はもともと口の中に常にある菌なので、健康な人であれば発症することはほとんどありません。なので、高齢者や乳幼児などの体力の弱い人や、糖尿病やがんの治療などで免疫力が下がったりした場合に、菌が増殖しやすくなります。

《主な症状》
舌や上顎などの口の中の粘膜に、剥がれやすい白いコケのような膜が付着します。剥がすと赤く腫れたり、出血したりします。また、舌の表面に腫れと萎縮が強くみられる場合や、ただれをともなうものもあります。
舌べろが痛む、味覚がおかしい、違和感があるなどの症状などがみられます。

3.主な治療法

子供の口内炎の治療は、小児歯科や小児科などで診て貰うことが可能です。アフタ性口内炎やカタル性口内炎は、小児歯科で診てもうらえますが、ウィルス性の口内炎の場合は発熱などの症状を伴う事がある為、小児科に診てもらいましょう。
また、生後4ヶ月から6ヶ月ぐらいの赤ちゃんは、本来お母さんから貰った免疫力によって病気にかかりにくい時期でもあります。そのため、急に発熱が出て様子がおかしかったら、重い病気にかかった可能性があるので急いで小児科に診てもらいましょう。

■小児歯科で行う治療

・アフタ性口内炎とカタル性口内炎の場合はうがい薬や、付着型のステロイド剤の軟膏を処方されます。だいたい約1週間〜2週間ほ
どで完治します。

・カンジタ性口内炎の場合はまず病変部のある部分を採取して、顕微鏡などでカンジタ菌の有無を確認したりします。治療法は抗真菌剤の入ったうがい薬や塗り薬、内服薬を使います。軽度の場合は数日間、うがい薬と塗り薬をつければほとんど治ります。重度の場合、うがい薬と塗り薬だけでは不十分なため、抗真菌 剤の内服薬が必要になります。抗真菌剤は、一般的に腎臓障害をおこす作用があるため、総投与量や期間にそれぞれ配慮しながら治療することが大切になります。

また、虫歯があると、口の中で細菌が増殖してしまい、口内炎の原因につながる事もあるので虫歯を予防することもとても大切です。
さらに、誤って口の中を噛んでしまって口内炎が繰り返しできる場合は、噛み合わせに問題がある可能性があります。
歯医者さんで歯科検診をしてもらい、虫歯や歯並び、噛み合わせを確認してもらいましょう。

■小児科で行う治療

アフタ性口内炎、カタル口内炎、カンジタ口内炎の治療法は上記に記した通り小児科でも同じ様な治療法を行います。

アフタ性口内炎やウィルス性口内炎は一週間で自然に治ることがありますが、ウィルス性口内炎の治療法は確立がされておらず、症状を和らげる対症療法となります。
単純ヘルペスウィルスには効く薬があり、飲み薬と塗り薬があります。

ヘルパンギーナの治療法は無く、対症療法のみで発熱や頭痛などに対して、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬などを用いることがあります。時に、脱水症状に対する治療が必要になることもあります。髄膜炎や心筋炎の合併では入院が必要で、心筋炎の場合は循環器専門による治療が望まれます。

4.自宅でのケア方法

口内炎ができると、口の中が痛くてご飯を食べるのが嫌になってしまいますよね?子供に口内炎ができた場合、どの様な食事や飲み物を与えることがベストなのか、ご自宅でできるケアの方法をご紹介します。

■食事で気を付ける点

栄養価の高い食事をできるだけ数回に分けてあげましょう。食べやすくするために、小麦粉や片栗粉、寒天などを使うと食べやすくなります。また、冷たいものは麻酔効果もあるため、プリンやゼリー、アイスクリームもおすすめです。

・食べても良い食品
なるべく胃に優しいおかゆ、そうめん、うどん、茶碗蒸し、白身魚など

・避けるべき食品
揚げ物、ひき肉、クッキー、おせんべい、みかん、グレープフルーツ、炭酸飲料、辛い物、すっぱいものなど刺激の強い食品はなるべく避けましょう。

・口内炎に効く食品
ハチミツ:患部に塗ると傷の治りを早くさせる作用があるため、良いされています。ただし、ハチミツの中にボツリヌス菌が含まれている場合があるので、1歳未満の乳幼児にハチミツは与えないで下さい。

・梅干し:殺菌作用が高いクエン酸が多く含まれているため、患部に貼りつけると良いとされています。ただし、しみる可能性があります。

以上のことを踏まえて、バランスの良い食事を心がけましょう。ビタミンが不足していたり、胃が弱っていると口内炎ができる原因にもなります。

■水分補給の大切さ

口内炎ができて、痛みが激しくなると水分さえ取りにくくなる事もあると思いますが、ウィルスは乾燥している場所を好みます。
なので、口内炎が出来ていなくても、口の中を乾燥させない事が大切です。お子さんが何も食べていなくても、水分はしっかり与えて、脱水症状が起きない様に気をつけて下さい。

乳幼児用のイオン水や麦茶、白湯、栄養のあるスープなどでこまめに水分補給を心がけましょう。ただし、熱すぎる飲み物や冷たすぎる飲み物は避けましょう。温度は人間の体温と同じぐらいの温度で飲ませてあげるのが良いとされています。

■痛くて歯磨きができなければ、なるべくうがいをする

口内炎ができて、歯を磨くと歯ブラシが口内炎に当たって、痛くてどうしても歯磨きを嫌がってできないときは、うがいをして口の中を清潔に保つようにしましょう。

アフタ性口内炎の場合、子供でも使用できる市販薬があります。塗り薬、スプレー薬、貼り薬など種類豊富です。薬剤師さんに相談して使用してみるのも良いでしょう。

5.予防策

口内炎が痛くて、ご飯が食べられない、元気がないのは嫌ですよね。また、口内炎には種類があり、発熱を伴うものもあります。たかが口内炎だと思って放置せず、自分のお子さんの身体に危険が及ぶ前に、なるべく予防して口内炎から守ってあげましょう。

■ビタミンの摂取

ビタミンの摂取を心がけましょう。
ビタミンB1、B2、Eの不足で口内炎ができる場合もあります。特に、子供の口内炎を防ぐには、ビタミンの中ではビタミンB2が効果的だと言われています。
ビタミンB2には成長を促進し、身体の粘膜や皮膚を保護する役割があります。これが不足すると口内炎になりやすくなる可能性があります。

ビタミンBを多く含む食品
納豆、レバー(牛・豚・鳥)、干ししいたけ、鶏卵、海苔、うなぎなど

緑黄色野菜にはビタミンが多く含まれているためたくさん取るように心がけましょう。また、母乳でお子さんを育てている場合は、お母さん自身の食生活にも気を配るようにしましょう。

■睡眠時間をたっぷり確保

睡眠不足やストレスなどの疲れから免疫力が低下すると、病気にかかりやすくなります。睡眠時間をたっぷり取るようにして、お子さんに規則正しい生活を身につけるようにしましょう。

■乾燥なるべく防ぐ

ウィルスは乾燥した場所を好みます。乾燥を防ぐために、マスクを着用したり、水やお茶などでこまめに水分補給したりして、口の中の湿度を保つようにすると効果的です。特に乾燥しやすい冬は、加湿器を活用する事もおすすめです。

■食後の歯磨きは徹底しつつ優しく磨く

口の中に食べかすが残っていたり、清潔にしていないと口内炎ができやすくなります。ごはんを食べ終えた後や寝る前に歯磨きをして口の中を清潔に保つようにしましょう。
普段から、口の中の粘膜を傷つけないように、優しく歯を磨きましょう。

6.まとめ

子供の口内炎の症状には様々な原因と種類があります。なので素人判断は危険です。重症化しないように、子供の様子がいつもと違うと感じたら、小児歯科・小児科へ診てもらいましょう。また、お子さんに口内炎ができやすい場合は、ご家庭で予防を徹底し規則正しい生活をおくるように心掛けてまた、歯医者さんでの定期検診も忘れずに行くようにしましょう。
ライター:酒井