女性の社会進出に伴い、晩婚化が進み40歳以上で初産を迎える人が増えているそうです。そういえば、テレビのエンタメを見ていると40歳以上の女優や芸能人が妊娠・出産したというニュースをよく見かけるようになりました。
そうなるとまだまだやりたいこともあるし、40歳になるまで子どもはいなくてもいいわと思う人もいるのではないでしょうか?
ですが、ちょっと待ってください。40歳のあなたが必ずしも妊娠・出産できるという保証はありません。脅すわけではありませんが、40歳以上の初産は20代、30代の初産よりも多くのリスクが伴います。
今回は40歳から妊娠することのリスクや不妊治療、備えるべきことについてご紹介します。
・40歳からの妊娠確率
・40歳から妊娠することのリスク
・40歳から妊娠するときに備えておくべきこと
読むのに必要な時間は約 6 分です。
目次
1. 40歳からの妊娠確率は?

結婚したら自然に子どもができる、そう思っている女性は少なくないと思います。1年半不妊治療を経験した私も最初はそう思っていました。
ですが、世代別の自然妊娠確率を調べてみると
・25歳…25~30%
・30歳…25~30%
・35歳…18%
・40歳…5%
・45歳…1%
最も妊娠しやすい20代でさえ自然妊娠の確率は25~30%と意外と少ないことが分かります。
さらに、驚きなのは35歳までは18%ある妊娠確率が40歳以上になると5%と一気に下がること。もちろん、40歳でも30代並みの妊娠力がある方もいますが全ての人がそうではありません。
目を背けたくなる事実ですが、40歳からは妊娠確率が著しく下がるということを今のうちに知っておきましょう。
2. 卵子も老化する!?老化を防ぐために気を付けるべきこと
女性の卵子は胎児のときに既に作られ、生まれてくる時には約200万個あるそうです。これだけあるのであれば、40歳以上で妊娠しても十分足りるのでは?と思いますよね。ですが、卵子の数は年齢を重ねるごとに減少していき、思春期には20~30万個になり閉経時にはゼロに近づきます。
なぜ、そんなに急激に減るのかというと、1回の月経周期に卵子の数が数百~数千個減少すると言われているから。そして卵子は新しく作られることはなく、年齢とともに減少し増加することはないからです。
さらに、最新の研究によると卵子も年齢とともに年を取り老化していくことが分かっています。卵子が老化すると、卵子の表面に凹凸ができ形がいびつになるので、受精しにくくなると言われています。
■卵子の老化を防ぐことはできる?
肌はお手入れ次第で若返ったように見せることができますよね。ですが、卵子は一度老化してしまうと若返らせることはできません。
また卵子の老化は、以下の要因で加速してしまうこともあるそうです。
<卵子の老化を加速させる要因>
・子宮や卵巣の病気を放置
・過剰なストレス
・偏った食生活
・喫煙習慣
・睡眠不足
このような生活習慣を続けていると妊娠したいと思ってもなかなか妊娠できず不妊になってしまうこともあります。私も20代の頃にブラック企業に勤め、不摂生な生活を送っていた結果、月経が止まってしまいました。そこから月経を正常にするまでに1~2年を費やしさらに結婚後は不妊に悩んだ経験があります。
卵子の老化を防ぐことはできませんが、婦人科で病気がないか確認したり規則正しい生活を送ったりすることで卵子の老化スピードを緩めることは可能だと言われています。もし、将来妊娠を考えているのであれば今からでも遅くないので、まずは婦人科で子宮や卵巣の病気がないか調べてもらうことをおすすめします。
3. 40歳から妊娠することのリスクは?

どの年齢の女性もそうですが、妊娠には様々なリスクが伴います。また年齢が上がれば上がるほど妊娠に伴うリスクは高くなる傾向にあるようです。40歳以上の妊娠リスクには以下のようなものがあります。
・流産の確率が高くなる
・妊娠高血圧症、妊娠糖尿病になりやすくなる
・染色体異常の発生率が高くなる
ここでは、これらのリスクについて詳しくみていきましょう。
■流産の確率が高くなる
妊娠したら10ヶ月後には赤ちゃんに会えるのが当たり前のことと思っている人も多いのではないでしょうか?ですが、残念ながらどの年代で妊娠しても流産してしまう確率は約15パーセントと言われています。意外と高い数字ですよね。
厚生労働省が出している「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書の資料を確認すると、妊娠する年齢が上がるにつれて流産する確率も高くなることが分かります。
引用:https://www.mhlw.go.jp/
ここでも、40歳以上の流産確率は41.3%とかなり高い数字になっていますね。
■妊娠高血圧症、妊娠糖尿病になりやすくなる
妊娠特有の病気に妊娠高血圧症と妊娠糖尿病があります。これらの病気は名前の通り、妊娠しているときに発症する病気で、重症化すると母体や胎児が命の危機にさらされることもあります。
【妊娠高血圧症】
妊娠20週以降~分娩後12週の間に、高血圧と蛋白尿の症状がみられる場合、妊娠高血圧症と診断されるそうです。
妊娠高血圧症の診断の目安は
・収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上
・尿たんぱくが30mg/dl以上
となっています。
妊娠高血圧症の恐ろしいところは、母体や胎児に影響を与える「子癇(しかん)・HELLP(ヘルプ)症候群・早期胎盤剥離」といった合併症のリスクが高まることで、合併症が数日で急激に悪化し、入院・手術が必要になるケースも珍しくないそうです。
これらの合併症は重症化するといずれも母体と胎児を守るため、緊急帝王切開を行うケースがほとんどで、未熟児として生まれるリスクも高くなると言われています。
【妊娠糖尿病】
妊娠糖尿病とは妊娠中に発見または発症した糖尿病ほどではない軽い糖代謝異常のことを言うそうです。妊娠すると胎盤から出るホルモンの影響で血糖を下げるインスリンの働きが抑えられて血糖が上がりやすくなる傾向にあります。
妊娠糖尿病になると、母子ともに合併症のリスクが高まります。
母体リスク
・妊娠高血圧症候群
・常位胎盤早期剥離
・羊水過多症
・流産
・早産
・難産
胎児リスク
・巨大児
・胎児発育遅延
・先天性奇形
・子宮内胎児死亡
妊娠糖尿病と診断されても多くの場合は軽症で、食生活や体重管理によって重症化せず無事に出産することができるそうなので、診断された場合は医師や栄養士の指示を守って生活するようにしましょう。
■染色体異常の発生率が高くなる
先程説明した通り、年齢が上がるについて卵子は老化していきます。そのため、年齢が上がるにつれて、染色体異常が発生する確率が高くなっていきます。
引用:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000016911.html
染色体異常が発生すると多くの場合は初期段階で流産してしまうのですが、中には先天性疾患を持ったまま育つ赤ちゃんもいます。現在、任意で出生前診断をすることができますが、その際に胎児に染色体異常が見つかった場合、どうするかは赤ちゃんの両親に委ねられます。
40歳以上の妊娠になるとこのような命の選択をしなければならない悲しいリスクも高くなってしまいますので、将来子供が欲しいのであれば早めの行動をおすすめします。
4. 40歳からの不妊治療とは?

40歳以上でも高度な不妊治療をすれば必ず妊娠できると思っている人も多いのではないでしょうか。ですが、それは間違いで年齢が上がれば上がるほど、体外受精などの高度治療を行っても流産する確率が高くなるそうです。そのため、40歳以上になると不妊治療が長くなってしまう傾向が見られます。
不妊治療が長引けば長引くほど経済的な負担はもちろんのこと、治療を受ける女性の精神的負担も大きくなります。また、大きな負担を背負ったからといって必ずしも妊娠できる保証はありません。
私は30代ですが、不妊治療を1年半続けた経験があります。この期間は真っ暗闇のトンネルを手探りで歩いているような感覚で、今思い出してもちょっと胸が苦しくなります。幸い、治療によって息子を授かることができたので良かったのですが、もしこれ以上治療が長引いたり妊娠できなかったりしたらきっと精神疾患になっていたかもしれません。大げさだと思われるかもしれませんが、それほど不妊治療は女性の心と体に負担がかかってしまいます。
もし、あなたが将来妊娠したいと思うのであれば、精神的・経済的負担を軽くするためにも早めの検査と治療をおすすめします。医師によってはゆっくりと治療を進める人もいるかと思いますが、40歳以上は時間が経つとますます妊娠しにくくなってしまうそうなので、できるだけ早く高度治療に臨まれる方がいいかもしれません。
また、国から助成金が出る特定不妊治療助成金の申請期限は42歳までとなっていますので不妊治療を考えている方は頭に入れておきましょう。
5. 40歳から妊娠出産をするために備えるべきこと

これまで40歳以上の妊娠リスクをご紹介しましたが、リスクが高くて妊娠をあきらめようか考えてしまう人もいるのではないでしょうか。ですが、リスクが高いけれども妊娠をあきらめる必要はありません。
事前にしっかりと備えておけば、40歳以上の妊娠出産も怖くありません。ここでは、40歳からの妊娠出産をするために備えるべきことについてご紹介します。
■貯蓄
40歳で無事に妊娠・出産したとすると、子供が20歳なったとき両親は60代で定年を迎える人もいるはずです。20歳はもう立派な大人のように思いますが、大学進学や社会生活の始まりでまだまだお金が必要になることも。
また、40歳からの妊娠を希望する際に、不妊治療をしなければならないときもあるかもしれません。国から助成金が出ると言っても高度治療にかかるお金は実費のため、1回につき50~60万円かかることもあります。
このような場合に備えるためにも今から貯蓄をしておくことをおすすめします。
■体力づくり
私は30代で妊娠・出産をして現在2人の息子を育てていますが、妊娠・出産そして子育てには体力が必要です。特に出産後しばらくは不眠不休の状態がしばらく続くので、体力がどんどん削られていきます。
この大事な時期に倒れてしまうと子供の世話もままならなくなり、体力の限界が精神にも影響を及ぼしてしまうことも。そうならないためにも、今のうちから体力づくりをしておくことをおすすめします。
■パートナーとの意識合わせ
40歳からの自然妊娠は不可能ではありませんが、統計的にみてもとても厳しい状況であることは確かです。子供を持ちたいと思う人の多くは不妊治療に踏み入れることになるかと思います。
不妊治療は精神的にも経済的にも大きな負担がかかるものなので、パートナーとの意識合わせをしっかりとしておかないとお互い疲弊してしまい、家庭内がぎくしゃくしてしまうことも。また、辛いことですが子供のいない人生を考えることも必要です。
夫婦の意識合わせをしっかりしておくと、お互いを思いやることができるので、辛い治療も二人で乗り越えることができます。二人でしっかりと話し合って、40歳からの妊娠に備えましょう。
6.まとめ
40歳から妊娠することのリスクや不妊治療、備えるべきことについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。統計を見ても分かるように40歳以上になるとどうしても妊娠しづらくなってしまう傾向にあります。
ですが、生活習慣の改善や病気の早期発見・治療をすることによって40歳以上でも妊娠することは十分可能だそうです。また、40歳からの妊娠はデメリットだらけだと思われがちですが、メリットもあります。社会経験を積み、経済的にも安定してからの妊娠・出産は心に余裕ができ、子育ても上手くいくことが多いそうです。また、キャリアを長く積んでいるため、出産後の社会復帰もスムーズにいきやすいと言われています。
仕事でキャリアを積んでいくと目の前の仕事に追われて自分のライフステージを考える余裕がなくなってしまいますよね。ですが、妊娠・出産にはリミットがあります。そのことを頭において、将来のためにも妊娠しやすい身体づくりを今から始めてみるのはいかがでしょうか。
ライター名 tag_maru