【心配なママ必見!】新生児の黄疸は病気?気になる疑問を解説!

この記事でわかること
・新生児黄疸とは?
・病気とそうでない黄疸の違いとは?
・黄疸の治療法

 

目や皮膚が黄色くなっていく黄疸ですが、新生児のほとんどにその黄疸は出てきます。多くの場合、時間ととともに自然に消えていくので、心配はないと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、その新生児黄疸には、重大な病気が原因となっていることもあるのです。

今回は、病気ではない新生児黄疸と病気が疑われる新生児黄疸の見分け方や、その治療法などを説明していきます。

1. 黄疸とは?

出典:https://akachanikuji.com/oudan

■黄疸の基礎知識

黄疸とは、血中のビリルビンという色素が増加することで、皮膚や粘膜が黄色く染まる状態のことを言います。ビリルビンの血中濃度が上昇するにつれ、次第に白目の部分が黄色くなり、その次に皮膚が黄色くなります。

ビリルビンというものを、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか?
赤血球には、全身に酸素を運ぶ役目のあるヘモグロビンという物質が入っています。実は、赤血球には寿命があり、あるとき壊れて中身のヘモグロビンが出てきます。そのヘモグロビンが体内でビリルビンに変化していくのです。

■新生児の黄疸

新生児黄疸の原因は、赤ちゃんの赤血球が壊れやすいからです。そして、赤血球が壊れることで体内にビリルビンが増えてしまうのです。通常、大人であればビリルビンは肝臓で処理されて、体外に便として排泄されます。しかし、産まれて間もない赤ちゃんの肝臓はまだ未熟で、十分な機能を果たしていないため、体内にビリルビンが溜まってしまうことが多くあります。

新生児で黄疸がみられることはよくあることで、予定日付近で産まれた新生児の約80%は、生後一週間の間に黄疸が起こります。そして、未熟児で産まれた場合には、より高い確率で黄疸がみられます。

2. 病気ではない新生児黄疸

新生児にみられる黄疸のほとんどが病気が原因のものではありません。新生児黄疸の一般的な原因には「生理的黄疸」、「母乳哺育黄疸」、「母乳性黄疸」、「赤血球の大量破壊」の4つのものがあります。以下で、それぞれを詳しく説明していきます。

■生理的黄疸

生理的黄疸はほとんどの新生児に起こります。これは、新生児の赤血球の分解がとても活発になっていること、かつ新生児の消化管と肝機能が未熟であることが原因となっています。消化管や肝臓が成熟するにつれて、自然と黄疸はなくなっていきます。一般的に、生理的黄疸は生後2〜4日で現れ、1〜2週間以内には消えることが多いです。大抵の場合、ほかの症状は発生しません。

■母乳哺育黄疸

こちらも新生児によく起こる黄疸です。母乳哺育黄疸という名前の通り、母乳を飲んでいる新生児にみられます。産後すぐは、母乳の出があまり良くないことが多く、その結果、新生児にとって十分な量の母乳を飲めていないと黄疸が出てきます。母乳の量が足りていないと、排便回数が少なくなり、ビリルビンの排泄が少なくなるために起こります。母乳を飲んでいる新生児のうち、6人に1人の割合でこの黄疸が発生しますが、母乳を飲み続け、その摂取量が増えることで自然と消えていくことが分かっています。

■母乳性黄疸

母乳性黄疸を発症する新生児は全体の1〜2%に留まっており、これが起こるのは稀です。この黄疸が起こる原因は、母乳にビリルビンの排泄を遅らせる物質がたくさん含まれている場合です。母乳性黄疸は、生後5〜7日経った頃に現れ始め、約2週間経った頃をピークに減少しますが、黄疸が消えるまで3〜12週間かかることもあります。

■赤血球の大量破壊

赤血球が大量に破壊されることにより、肝臓の処理能力を超える多くのビリルビンが生成されることもあります。赤血球が大量破壊されるのには、以下に挙げる3つの原因があります。

・新生児と母親の血液型が適合していない場合
母子の血液型が違うため、母親の抗体が胎盤を通して新生児の赤血球を攻撃してしまうことで、ビリルビン濃度が急激に上昇することが原因です。

・赤血球酵素の遺伝性欠乏症や遺伝性赤血球異常症の場合
どちらも遺伝性のもので、これらが起こるのは稀なことです。

・出生の過程で血腫ができることで起こる場合
こちらも滅多にありませんが、出生時に損傷を負ってしまった新生児は、皮膚の下に血腫ができてしまうことがあります。その血腫の中で血液が破壊され、黄疸が発生することがあります。

3. 病気が疑われる新生児黄疸の特徴

出典:https://akachanikuji.com/oudan

病気が疑われる黄疸の場合、上記で挙げたものとは異なり、生後48時間以内に現れることが多くあります。また、黄疸の度合いが非常に強かったり、黄疸以外の症状を伴ったり、2ヶ月以上黄疸が消えなかったりといったような特徴もあります。

黄疸以外の症状とは?
・便の色が薄い
・尿の色が濃い
・抱合型ビリルビン値の上昇

これらの症状がみられた場合には、かかりつけの医師に相談してみることをおすすめします。

■先天性胆道閉鎖症が原因のとき

新生児の黄疸がなかなか消えない場合、肝臓の病気が疑われます。その中でも、最も恐ろしい病気が、胆道閉鎖症です。先天性胆道閉鎖症とは、生まれつき肝臓で作られた胆汁が排出される胆道が狭い、または無い状態のことを言います。胆汁が消化管に出ないので、便が白くなることで黄疸の症状も出ます。

肝臓は体の中で最も重要な臓器で、これが機能しないと体内の毒素が解毒されず、体の中に溜まり、肝硬変や肝がんを引き起こしてしまうのです。また、この病気の発見が遅れてしまうと、大量のビリルビンが脳に溜まり、核黄疸やビリルビン脳症を起こすことで脳出血になることもあります。こうなってしまうと、たとえ命が助かった場合でも、障害が残ってしまうことが多いので、早期に発見してあげることが大切です。

■感染症が原因のとき

感染症などが原因で肝機能がうまく働かなくなると、胆汁が排泄されなくなります。その結果、ビリルビン値が高くなり、黄疸を発症してしまうのです。

■甲状腺機能の低下が原因のとき

先天性甲状腺機能低下症と呼ばれる病気が原因のときもあります。3000人から5000人に1人の割合で発症しますが、そのほとんどが産まれたときの、マススクリーニング検査で発見できます。しかし、稀にその検査の際に見つけられない場合もあります。

これは、産まれつき甲状腺の働きが弱く、甲状腺ホルモンが不足する疾患です。新生児のときの特徴として黄疸のほか、哺乳不良、便秘、手足が冷たい、元気がない、泣き声がかすれているなどの症状もあります。その後、長期的には身体や知的な成長が通常より遅れてしまいます。

4. 治療の方法

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■病気ではない新生児黄疸の対処法

通常、新生児によくみられる黄疸は、ほとんどの場合が病気が原因ではありません。赤ちゃんの肝臓の機能が発達するのと共に、自然に消えていくので治療の必要もありません。授乳を頻回にしてあげると、便の回数が増え、より多くのビリルビンを排出するので黄疸の軽減に役立ちます(母乳性黄疸の場合は、反対に母乳を数日間与えないようにします)。ただし、黄疸の度合いがきつい赤ちゃんには、光線治療や交換輸血が施されることもあります。

■病気が疑われる新生児黄疸の治療法

【先天性胆道閉鎖症の場合】

胆道閉鎖症と診断された場合、すぐに手術の準備が始まります。その手術で、無くなってしまった胆道の代わりに、直接腸を肝臓に繋げます。この手術を行い、肝臓から老廃物や毒素を排泄できるようになれば、ひとまずは安心ができます。その後は、投薬や定期的な検診、年に一度程度の検査入院を行います。それ以外には特に生活に関して支障はなく、健康な子と同じ生活ができますので安心してください。

【感染症の場合】

抗生物質などを用いて、その病気に対する根本的な治療を行います。

【甲状腺機能低下症の場合】

治療の方法としては、一日一回レボチロキシンナトリウムという甲状腺ホルモン薬を内服します。同時に血液検査を行いながら、その投薬量を調節していきます。特に、生後数ヶ月以内に治療を開始することが大切と言われています。それは、その時期が最も知的発達に重要な期間であるためです。

5. まとめ

新生児の黄疸はよくあることで、そのほとんどは自然に消えていくものです。ただし、一万人に一人という確率で、先天性胆道閉鎖症を発症する新生児もいることを覚えておいてください。もし、その危険信号に気付かずにいると、生後3ヶ月を過ぎた頃には脳出血を起こすリスクが一気に高まり、死亡するケースもあるのです。

新生児の黄疸はよくあるがゆえ、病的黄疸は見逃されやすいので、黄疸の出てる期間が明らかに長いなど、少しでもおかしいと思うことがあれば医師に相談してみましょう。

ライター:木村