【その使い方、間違ってるかも!?】プロテインを正しく効果的に取る方法

食事制限をしながらダイエットをして減量を目指しているのに、体力が極端に落ちたり肌や髪のツヤがなくなったりして困っている方はいらっしゃいませんか?
それ、もしかしたらタンパク質不足かもしれません。
ですが、食事制限がうまくいっている状態だと、これ以上メニューを増やすことに不安が出てきてしまいますよね。
そんな方におすすめなのがプロテインです。
適切に使えば効果的なプロテインですが、ただ摂取すれば良いというものではないので、まずは正しい使い方を知っていきましょう。

この記事でわかること
・プロテインとはなにか
・プロテインの適切な使い方
・プロテインを使う際の注意点

読むのに必要な時間は約 6 分です。

1. プロテインって何? プロテインの中身と種類

プロテインという言葉自体はタンパク質を意味する言葉です。タンパク質は、食事などで摂取すると体の中でアミノ酸に分解され、内臓も含めた筋肉、髪や爪を作るもととなります。
一般的にプロテインと言うと、サプリメントとしてのプロテインパウダーを指して言うことが多いですね。
プロテインパウダーは、タンパク質などの成分をパウダー状に凝縮した製品です。
トレーニングによって分解された体内のタンパク質や失われたミネラルなどを回復させるために使用することが多いものです。

プロテインパウダーは原料別に見ると、ホエイ、カゼイン、ソイの三種類が主流です。

〈ホエイプロテイン〉
ホエイは乳(にゅう)清(せい)、あるいは乳漿(にゅうしょう)ともよばれ、牛乳や脱脂粉乳からカゼインを除いた残りの水溶液部分のことです。ホエイプロテインは、この部分から抽出されたタンパク質を使ったプロテインパウダーです。
水溶性で吸収が速いのが特徴です。

〈カゼインプロテイン〉
カゼインは牛乳に含まれているリンタンパク質で、ホットミルクやチーズを作ると固まる部分です。カゼインプロテインはこのカゼインを使ったプロテインパウダーです。
不溶性で固まりやすく、ゆっくり吸収されるのが特徴です。

〈ソイプロテイン〉
ソイ(大豆)から抽出されたタンパク質を使ったプロテインパウダーです。牛乳アレルギーの方や乳糖不耐症(牛乳を飲むとお腹を下す症状)の方も使えるプロテインです。

プロテインパウダーは大まかに、〈瞬発系〉〈持久・リカバリー系〉〈増量・ウェイトアップ系〉〈減量・ウェイトダウン系〉の4種類で販売されています。

瞬発系はタンパク質の含有量が多く、持久・リカバリー系は炭水化物(糖質)を多く含み、増量・ウェイトアップ系は炭水化物(糖質)とタンパク質が多く含まれ、減量・ウェイトダウンはソイプロテインがメインとなって配合されています。

ソイプロテインは、原料の大豆に入っている大豆ペプチドが基礎代謝をあげる効果を持っていることから、減量系プロテインとして販売されているようです。

〇〇系の文字ではなく、成分表示をきちんと見て、それぞれの成分が自分に合うバランスで配合されている商品を選ぶことが大事です。

 

2. プロテインを飲むと太るってホント?

プロテインを飲むと太る、という話を聞いたことがある方も多いかもしれません。
結論から言えば、プロテインを飲めば必ず太る、ということはありません。ただ、プロテインは基本タンパク質なので、熱量(cal)があり、過剰分はエネルギーとして使われたり脂肪として体内に蓄積されたりすることから、過剰に取ると太る場合があります。

ダイエット目的でプロテインを使用する際は、パウダーの種類にも注意が必要です
というのも、持久系・増量系として販売されているプロテインパウダーの中には糖質が多く入っているものがあるからです。これは、筋肉の回復にとって糖質が無くてはならないものであるためです。
タンパク質は体に必要なものですが、タンパク質が足りている状態で糖質の多いプロテインを摂取すると肥満に繋がる可能性があります。購入・使用の際は気をつけましょう。

 

3. プロテイン摂取の適切な量とタイミング

プロテインはタンパク質だということが分かりました。では、プロテインはどのようなタイミングで摂取すると効果的なのでしょうか?
調べてみると、使用する目的によってそのタイミングは異なるようです。

①ダイエット目的で使用する場合
率直に書きますと、一般的な生活を送っている方が、食事と一緒にプロテインパウダーを摂取しても、ダイエットにはつながらない可能背が高いです。

というのも、厚生労働省は2015年の『日本人の食事摂取基準』において、18歳以上の女性のタンパク質の推奨する摂取量を1日50gとしています。
一方で平成28年国民健康・栄養調査報告を見ると、20歳以上の女性のタンパク質摂取量はどの年齢層の平均値・中央値においてもその基準を上回っています。

参考HP

日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要 p8(頁下部にリンクあり):https://www.mhlw.go.jp/

平成28年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果p62・P63 (頁中央にリンクあり):https://www.mhlw.go.jp/

 

つまり、ごく普通の生活を送っている方の中には、タンパク質不足の方はほとんど居ないので、食事にプロテインを足すと余計な栄養として体内でエネルギーや脂肪に変換されてしまうのです。

ダイエットを目的としてプロテインを使用する際は、栄養不足にならないように炭水化物(糖質)や野菜などは食事で取りつつ、メインの肉料理をプロテインに置き換えて脂質の取りすぎを避けるために使うのがおすすめです。

②トレーニングの際に使用する場合

一方、トレーニングをして筋肉をつけたい方におすすめするプロテインの摂取のタイミングは〈運動後30分以内〉です。

このタイミングでコップ1~2杯の牛乳を取ると、筋力アップに繋がることが最近の研究からわかっており、また、トレーニング後は2時間以内に食事を摂取することでトレーニングで失った糖質やミネラルの速やかな回復が見込めます。

本来タンパク質などの栄養は、食事で取ることが望ましいのですが、ハードなトレーニングで食欲が落ちている状態やすぐに食事に行けない場合などは、糖質入りのプロテインと牛乳を合わせて摂取すると良いようです。

ただし、国立スポーツ科学センターのHPによると、筋肉づくりに有効に活用されるたんぱく質は体重あたり2g程度で、筋タンパク質合成を高めるための1回の最大たんぱく質摂取量は20~25gで最大であるといわれており、プロテインを一度に大量に摂取しても有効には利用されない、とあります。

プロテインパウダーを使用する際は、商品ごとの使用方法をよく読み、用法通りの量を飲むのが大事です。

参考HP
産経新聞 牛乳 筋肉組織の強化からも有用性 2018.6.19:https://www.sankei.com/

alic独立行政法人 農畜産業振興機構  スポーツ選手の食事法:https://sugar.alic.go.jp/

国立スポーツ科学センター スポーツ栄養 プロテイン: https://www.jpnsport.go.jp/

 

4. プロテイン摂取で注意すべきこと

 

タンパク質を手軽に取れる補助食品として、プロテインは優れています。ですが、使用時にはいくつか考慮しなくてはいけないことがあります。

① プロテインはあくまで食事の補助
プロテインパウダーの多くは、タンパク質と糖質が組み合わされたものなので、トレーニングや食事管理をきちんとした上で使用しないと肥満に繋がる恐れもあります。
プロテインを摂取して満腹感が発生したために、食事を抜いたり減らしたりしてしまうと、食事からきちんと栄養が取れなくなります。
食事からの栄養摂取を一番に考え、プロテインパウダーはあくまで補助として使用しましょう。

② ソイプロテイン内のイソフラボン

(a)イソフラボンの摂取上限と
ソイプロテインを使用する際はイソフラボンの量を考慮することも必要です。
イソフラボンは大豆に含まれる成分で、摂取すると体内で女性ホルモンと同じような働きをする物質です。

このイソフラボンは国の食品安全委員会において、安全な上限摂取目安量(1日の上限を75㎎、補助食品の上乗せとして1日30㎎)が設定されています。
妊婦・小児・乳児はイソフラボンの上乗せする形での摂取は推奨されていません。

ただ、この目安量は、イタリアの試験データとこれまで日本人が日常的に摂取してきた大豆食品から算出された量で、この目安量を超える摂取が直ちに健康被害に繋がるわけではないようです。
イソフラボンが人体に与える影響については今後の研究の進展を待ち、今は目安量を守った生活を送ったほうが無難でしょう。

(b)妊婦・小児・乳児の使用について

上でも述べたように、妊婦・乳児・小児はイソフラボンの上乗せ摂取が推奨されていません。

妊娠中は必要なタンパク質量が増えます。つわりなどの理由から食事が取れず、タンパク質をプロテインパウダーから摂取する方もいらっしゃるかもしれません。
どうしてもプロテインが必要な場合はソイプロテインを使用するのは控え、牛乳由来のプロテインパウダーを使用しましょう。

乳児、小児も生殖機能への影響等を示唆する報告があるため、医師による乳糖不耐症の乳児への大豆調整乳の投与を除き、イソフラボンの上乗せ摂取は推奨されないと発表されています。
小さい子供にソイプロテインを与えることは控えたほうが良いでしょう。

参考HP

内閣府 食品安全委員会 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A:http://www.fsc.go.jp/

(b)表示されていないイソフラボン量について

ソイプロテインの商品の中にはその成分表示にイソフラボンを記載していないものもあり、イソフラボンが入っていないかのように見える場合があります。

ですが、『「健康食品」中の大豆たんぱく質および大豆イソフラボンの定量と表示に関する調査研究』によると、成分表示に書かれていないにもかかわらず、ソイプロテインの中には一食分(21g)中に多いもので44㎎の大豆イソフラボンが入っていることが報告されています。
44㎎は国が定めた1日の摂取目安量の半分以上を占めた数値で、上乗せで摂取する30㎎の目安量は上回る数字です。
大豆や大豆食品を積極的に日常で摂取する人は、ソイプロテインを使う際は気をつけたほうが良いでしょう。

「健康食品」中の大豆たんぱく質および大豆イソフラボンの定量と表示に関する調査研究:https://www.jstage.jst.go.jp/

③ 腎疾患とプロテイン
プロテイン(タンパク質)は腎臓の病気を引き起こすものではないのですが、もとから腎臓の疾患を持っている人にとって、プロテインなどの高たんぱく質はその疾患に悪影響を及ぼす可能性があります。
腎臓の病気を持っている方がプロテインパウダーを使う際には、使用前に必ずかかりつけの医師へ相談し、承諾をもらった上で使用するようにしてください。

 

5. まとめ

プロテインと言うと、なんだかとても健康的で体に良いもののようにイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、プロテインパウダーはあくまでタンパク質と糖質などが組み合わされた補助食品です。
毎日3食きちんと取って生活している方が、そのイメージだけでプロテインパウダーを摂取すると結果につながらないどころか肥満に陥ってしまう可能性もあります。

プロテインパウダーは食事と違い、カロリー計算しやすい利点もあります。
きちんとしたトレーニングや食事管理を行い、健康的な食事をとった上での補助食品として一回ごとの使用量を守った上で使用していきましょう。

ライター:中尾