私たちの生活で、頻繁に起こっていて身近に感じるしゃっくりですが、大事な仕事やテストの最中、就寝前など一刻も早く、そのしゃっくりを止めたいときもありますよね。そこで今回は、しゃっくりがなかなか止まらないときの、とても効果的な方法をご紹介していきます。また、知っているようで知らない人の多い、しゃっくりの起こる原因もお伝えしていきます。もしも、なかなか止まらないような、2〜3日以上続くしゃっくりでお困りの方は要注意かもしれません。もしかすると、そこには恐ろしい病気が隠れている可能性もあるのです。当てはまる方は、ぜひ、この記事を読んでみてくださいね。
この記事でわかること
・実は、しゃっくりには三種類ある
・しゃっくりの効果的な止め方
・長引くしゃっくりは、病気のサインの可能性も?
読むのに必要な時間は約 4 分です。
目次
1.しゃっくりの原因は?
しゃっくりの医学的な正式名称は「吃逆(きつぎゃく)」といいます。そもそも、しゃっくりとは何らかの原因で横隔膜にけいれんが起き、声門が閉じる現象のことです。横隔膜が何か知らない方も多いですが、横隔膜とは肺とお腹の間にある、呼吸運動を行っている筋肉のことをいいます。横隔膜がけいれんし、肺に一気に空気が入ると同時に、声門がキュッと閉じることで、笛のように空気が鳴ります。この空気が鳴る音が、しゃっくり際に出る「ヒック」という音です。通常であれば、しゃっくりは数分から数十分で収まります。しかし、まれに2〜3日以上にわたって続くことがあり、それらは何かしらの病気が隠れているサインの場合もあるので注意が必要です。
私たちの日常生活の中で当たり前のように起こり、馴染みのあるしゃっくりですが、そのしゃっくりの種類は大きく分けると以下の3つに分類できます。そして、それぞれでしゃっくりを引き起こす原因が異なっています。
■横隔膜性しゃっくり
【原因】食べ過ぎ、飲み過ぎ、刺激物の摂取、腎不全など
横隔膜への刺激が原因で引き起こされる
■中枢性しゃっくり
【原因】脳卒中、脳腫瘍、アルコール中毒など
脳をはじめとした、中枢神経への刺激が原因で引き起こされる
■末梢性しゃっくり
【原因】呼吸系の病気、首の病気など
末端神経はの刺激が原因で引き起こされる
私たちが、日頃よく経験しているものは、この横隔膜性しゃっくりといわれるものに当たります。上記で紹介した原因の他にも、笑い過ぎで引き起こされることもあります。また、特に何もしていなくても起こることもあり、その原因は本当にさまざまです。その一方で、横隔膜のけいれんでしゃっくりが起こることはお伝えしましたが、そのけいれんが何故起こるのか、正確な原因は分からない、とする見解もあります。
2.止め方はいろいろ
病気が原因で起こっているしゃっくりの場合は、無理やり止めようとしても、なかなか止まるものではありません。しかし、食べ過ぎや飲み過ぎなどで起こっている、横隔膜性しゃっくりの場合は、今からご紹介する物理的な方法でそれらのほとんどが止められるでしょう。しゃっくりを止めるために行う、最も一般的な方法は深い深呼吸に合わせて息を止めることですが、それでも止まらない場合、以下の3つの方法も試してみてください。
■耳に指を入れるとしゃっくりが止まる!?
これがいつでもどこでも出来る、一番簡単で早い方法かもしれません。両手の指を耳の穴に突っ込み、30秒から1分間ほどかけてグーッと少し強めに押し込むだけです。誰にでも効果が必ずあるとは限りませんが、かなり高い確率でしゃっくりを止めることができるようです。ただし、これを行う際には耳を傷付けないためにも、爪を短く切っておくことと、呼吸器や循環系の持病がある方は、神経を刺激することで持病が悪化することもあるので行わないようにしてください。
この耳押し法が効く理由としては、耳と延髄の間を通っている神経を刺激することで、延髄の興奮を鎮めることができるからだと考えられています。この方法は、場所を問わず、人前でもすぐに出来るのでとても便利ですよ。
■舌を引っ張るとしゃっくりは止まる!?
これはとても効果のある方法で、実際に病院でしゃっくりの止まらない患者さんに対して行われることもあるそうです。方法としては、両手でハンカチの上から舌をしっかり掴み、前方に向かって30秒ほど強くひっぱるというものです。少し痛みが伴いますが、すぐにその効果が期待できます。舌を強く引っ張ることで、舌咽神経を刺激するので、しゃっくりの原因となっている横隔膜のけいれんを止め、正常な状態に戻すことが期待できます。
■水を飲むと効果的は本当?
これも本当です!やり方は、まずコップに8割ほどの水を注ぎます。そのコップを手に待ち、前かがみになりながら、コップも同時に傾けます。その状態でコップの中の水を、向こうの縁から飲むという方法です。少し難しいように聞こえますが、上あごをつたって水を飲むような感覚で行うと、そんなに難しいものではありません。水は少量飲めれば大丈夫です。このとき、鼻や気管支に水が入るとむせてしまうこともあるので、注意してくださいね。
これが効果的な理屈としては、横隔膜の位置を通常より引き上げることで、元の位置に戻るときにリセットできるからだと思われます。ぜひ、試してみてください。
3.長引くしゃっくりは注意が必要
しゃっくりには、大きく分けて、48時間以内に自然に治るものとそれ以上続くものに分けられます。皆さんがよく経験する、ほとんどのしゃっくりは「良性吃逆発作」といわれるもので、何の対処も必要のないものです。これに対し、48時間から1ヶ月以内のものを「持続性吃逆」といい、1ヶ月を超えて続くしゃっくりを「難治性吃逆」といいます。このように、48時間以上しゃっくりが続いていても、2〜3日で自然に治るケースもあります。しかし、そこには根本的な病気が隠れている可能性もあるので、病院に行き、医学的な評価が必要になってきます。しゃっくりが長時間続く場合は、ただの食べ過ぎや飲み過ぎなどではなく、恐ろしい病気が隠れていることもあります。脳卒中や脳腫瘍、肺炎、腎不全、食道ガンなどが原因の場合もあるので、ただのしゃっくりだから、と軽く考え過ぎない方がいいかも知れません。
「長引くしゃっくりだけでわざわざ病院に?」と、思われるかもしれませんが、しゃっくりが長引くとご飯が食べ辛かったり、夜が寝辛かったりすることで、肉体的・精神的苦痛は相当なものになってきます。そうなる前に、病院を受診しましょう。目安としては、しゃっくりが48時間以上続く場合は一度、病院へ行ってみることをおすすめします。しゃっくりは何科を受診すると良いのか迷うところですが、実はしゃっくりを専門とする科は、脳神経内科です。脳神経内科は、けいれん発作や不随意運動を専門としている科です。そのため、横隔膜の不随意運動であるしゃっくりも、こちらの専門になるのです。そちらへ受診し、物理的な方法でしゃっくりがすぐに止まらない場合には、薬物治療を行っていくことになります。
4.まとめ
大事な会議の前や就寝前など、早くしゃっくりを止めたいときには、今回取り上げた方法をぜひ試してみてください。他にもさまざまな止め方が存在するので、ぜひご自身に合ったものを見つけてくださいね。
また、普段、何気なく起こっているしゃっくりも、それが長引いている場合、何かしらの病気のサインという可能性もあるのです。しゃっくりが2〜3日経っても治らない、今回の記事で取り上げた方法を試しても治らないときには、病院へ行き、脳神経内科を受診してみることをおすすめします。しゃっくりが何かの異変を教えてくれているのかもしれませんよ。考えようでは、このしゃっくりは身体が病気になっていることを教えてくれる「身体からのSOS」ということですね。
ライター名
木村